働いていると医師が不足していることはわかりますが、その原因が何かはわかりませんよね。では、なぜ医師不足が起こっているのでしょうか?そして、私たちが感じる医師不足の原因は何でしょうか?
- 「医師不足が起こっている、根本的原因を知りたい…」
- 「なんで東京以外の関東は、医師が少ないの…」
- 「医師不足による仕事の負担は、解消できるの…」
医師不足の最大の原因は、地域によって人口当たりの医師数に偏りがあるからです。
なぜなら、人口当たりの医師数が少ない地域では、患者数に対する医師の数が足りず、十分な医療が提供できないからです。実際、人口当たりの医師数が最も少ない埼玉県は、最も多い徳島県の2分の1しか医師がいません。
人口当たりの医師数が少ない首都圏の医師は、医師不足による仕事の負担に襲われています。
しかし、地域の偏りは今後も解消が期待できません。なぜなら、地域の偏りを減らすために医師の数を増やそうと思っても、利益を重視する医師会や病院経営者が反対しているからです。
既得権益者がいる限り、医師不足はなくなりません。負担を解消するには私たち医師自身が行動するしかありません。
ここでは、医師不足が起こっている3つの原因について紹介します。また、勤務先の医師不足による仕事の負担を解消する方法も紹介します。
- 医師不足がなんで起こっているか知りたい、医師の声は?
- 医師を限界まで追い込む、医師不足の「3つの原因」は?
- 医師不足による仕事の負担を解消する、「3つの方法」は?
記事の内容を簡単に知りたい
医師不足がなんで起こっているのか、原因を知りたい…
医師不足の原因を知りたい医師は多いです。
Aさん)医師不足の原因は、絶対数の不足と医師の偏在…
問:医師不足の根本的原因はなんですか?
解:
1)絶対数の不足。
日米の医師数の比較をしていただければわかるのですが、あちら並みの濃密な医療を行うためには、あちら並みの人口当たりの医師数が必要なのは当たり前なのですが、もちろん人口当たり医師数は、わが国OECD諸国の中でも大変少ないため、とてもとてもまねできません。
患者数を医師数で割れば、5分間診療と言うのは、この国の医療システムでは、ごく当然の比率なのですが、それが不満となると、もはや絶対数が足りないとしか言いようがありません。
2)もちろん、医師の中央への偏在の問題もあります。これが第二の医師不足、特に地方における深刻な医師不足の大きな原因です。
参考:Yahoo知恵袋
医師不足の最大の原因は、人口当たりの医師数の偏りです。
人口当たりの医師数が少ない首都圏は、医師数が多い西日本と比べ2分の1しか医師がいません。さらに、世界的に見ると、人口当たりの医師数は先進国の中でも最低水準です。
Bさん)東京以外の関東は、医師が足りていない…
問:埼玉、千葉、神奈川などは医師不足が原因で救急車を受け入れられない病院が少なくないそうですが、なぜ東京以外の関東の病院は医者がすくないのですか?
単純に考えると関東の方が地方よりも医者が多いとおもうのですが。。。
解:実際に少ないのです。
ただし、絶対数ではなくて、人口当たりの医師数が少ないということです。人口10万人当たりの医師数で見ると、東京は253.4人なのに対して、埼玉は117.3人と半分にも満たないのです。千葉 136.4人、神奈川161.1人と平均よりもかなり少ないです。ちなみに平均は206人です。
一方、地方では200人以上というところが多く、東京以外の関東はかなり低いのです。人口の増加に対して医師が少ないのは事実なのです。参考:Yahoo知恵袋
東京以外の首都圏は、医師不足が深刻です。
特に、埼玉県と茨城県、千葉県は、人口当たりの医師数において、それぞれワースト1位、2位、3位となっています。これらの県は、人口が増える一方、医師になる人の数が少ないため、医師不足に陥っています。
Cさん)外科や産婦人科では、いつも医師が不足気味…
問:医師が不足してる診療科はどこですか?上位3つくらいを教えてください。
解:病棟勤務です。
- 1位 高度救命救急センター(救命部)
- 2位 小児科
- 3位 産婦人科
- 次点・4位 精神科
・・・うちの系列の病院では、上記4科の医師はいつも不足気味です。
参考:Yahoo知恵袋
診療科内でも、外科や産婦人科は医師不足が起こっています。
さらに、外科や産婦人科はここ20年医師数が変わっていません。一方、他の科は医師数が増え続けています。現在最も医師数が多い麻酔科は、外科や産婦人科の約2倍も医師がいます。
地域や診療科の医師の偏りをなくすには、医師の数を増やすしかありません。
しかし、利益を守りたい既得権益者によって、医師の増員は阻まれています。よって、医師不足による仕事の負担は解消されず、私たち医師を追い込んでいます。
では、私たちを追い込む医師不足の原因は、具体的に何でしょうか?
医師を限界まで追い込む医師不足の「3つの原因」は?
医師不足の最大の原因は、地域によって「医師の偏り」があるからです。また、「診療科」内でも医師の偏りが起き、医師の「絶対数」も足りていません。
原因1 :「人口当たりの医師数」が首都圏と西日本で約2倍も違う
医療施設に従事する医師の状況(従事地、人口10万人当たり)を見ると、徳島県が最も多く329.5人(前回調査に比べて13.6人増)、次いで京都府323.3人(同8.4人増)、高知県316.9人(同10.9人増)で多い状況です。
逆に少ないのは埼玉県の169.8人(同9.7人増)、茨城県県187.5人(同7.1人増)、千葉県194.1(同4.2人増)などです。
大都市と西日本で多い傾向は変わっておらず、最多の徳島県と最少の埼玉県の格差は1.94倍です
参考:GemMed
医師不足の最大の原因は、地域によって人口当たりの医師数に偏りがあるからです。
医師数が最も少ない埼玉県は、最も多い徳島県と比べて約2倍も医師が少ないです。また、全国的に見ると、西日本は医師の数が多く、首都圏は医師数が低い傾向があります。
そして、医師数の地域偏在は、医師不足の原因の中で最も深刻です。
なぜなら、医師1人が診るべき患者が増える分、私たち医師の負担が増えるからです。実際、世界と比べると、日本の人口当たりの医師数は中東や南米と同じ水準です。また、医師の負担が増える分、医療の質も低下します。
医療の質が低下することで、医師数が少ない地域で十分な医療が提供できなくなります。医師数の地域偏在は、医師と患者両者にとっていい結果をもたらしません。
原因2:「外科・産婦人科」の医師数は麻酔科の半分しかいない
多くの診療科で医師は増加傾向にあるものの、依然として偏在は解消されておらず、厚生労働省は「地域や診療科によっては医師不足である」と指摘しています。
参考:JobMedley
診療科によって医師が偏り、外科や産婦人科で医師不足が起こっています。
最も医師数が多い麻酔科と比べると、外科や産婦人科は約2倍も医師が少ないです。さらに、ほとんどの科の医師数が増加する中、外科や産婦人科の医師数は最近20年でほとんど変わっていません。むしろ、若干減少しています。
今後も、外科や産婦人科の医師数は増えません。
なぜなら、学生や研修医のニーズが変化したからです。今の若手医師は、仕事が激務で医療起訴の可能性も大きい外科や産婦人科を選びません。よって、若い医師が増えないため、現場で働いている医師の負担はさらに大きくなります。
原因3:日本は「医師の絶対数」が世界と比べて足りていない
OECD(経済協力開発機構)が実施した人口1000人当たりの医師数の国際比較では、OECD加盟国中最下位のトルコとほぼ同等という結果が出てしまいました。OECD平均値の3.1人を、大幅に下回っています。
日本の医師数は、先進国の中でも最低水準です。
人口当たりの医師数が最も多いギリシャと比べて、日本は半分しか医師がいません。また、先進国の平均値と比べても、3分の2も少ないです。よって、日本は医師の数自体が足りていません。
単純に考えれば、医師の絶対数を増やし、人口当たりの医師数を増やすことで医師不足は解消されます。しかし、利益が減るの恐れる医師会や医学部経営者が、医師の増員を阻んでいます。
従って、医師の増員を阻む既得権益者が居座る限り、医師不足は解消されません。
医師不足による仕事の負担に悩んでいるなら、自分で行動するしかありません。では、具体的にどうすれば仕事の負担を解消できるのでしょうか?
医師不足による仕事の負担を「解消する方法」は?
方法1:「上司に相談」して勤務時間を減らしてもらう
- ○:相談がうまくいけば、「勤務先を変えることなく」負担を解消できる
- ○:医局に所属していれば、「教授との面談」があるため相談しやすい
- ×:相談が失敗すれば、負担は解消できず「病院に反感を食らう」可能性
上司への相談は、仕事の負担を解消するうえで最も気軽な方法です。
なぜなら、医局に所属していれば、11月~1月に面談する機会が必ずあるからです。わざわざ、相談の機会を設けなくていいので、相談しやすいですよね。
しかし、医局内の人間関係が悪く、教授も信頼できないなら相談するのは苦痛ですよね。
さらに、病院との関係が悪化して、今の職場で働きづらくなる可能性もあります。普段から親交がある上司や教授じゃなければ、相談する意味はありませんね。また、そもそも医局に入っていなければ、相談の機会を設けるのは手間がかかります。
相談できる相手がいないなら、勤務先を変えるしかありません。
方法2:「人口当たりの医師数」が多い地域で働く
- ○:医師1人の負担が少ないため、「長時間労働」や「当直の数」も減る
- ○:「給料面」もよく、高知県の平均年収は全国平均の約1.5倍
- ×:「ライフプラン」を関東や都心に築くことはできない
人口当たりの医師数が多い地域で働けば、仕事の負担を解消できます。
なぜなら、医師1人が見る患者数が少ないからです。また、仕事量が減るため、時間外労働や当直も少ないです。さらに、待遇もよく、人口当たりの医師数が2番目に多い高知県では、平均年収が1700万円にも上ります。
しかし、医師数が多い地域は西日本に限定されています。関東や都心で生活をしたい医師は、別の選択肢を考えた方がいいですね。
方法3:「クリニック」で残業や当直を気にせず働く
- 病院勤務よりも「残業が少なく」、時間にゆとりを持てる
- 「無床クリニック」で働けば、当直やオンコールがない
- 「勤務時間当たりの時給」は、病院勤務を上回る
クリニックに転職すれば、時間にゆとりをもって働くことができます。
なぜなら、重症の患者さんが運ばれてこないため、求められる仕事の負担量も少ないからです。さらに、無床クリニックであれば、患者さんを夜間に診ることもないので、当直やオンコールもありません。
給料は額面上少なくなりますが、時給に直せば病院勤務と変わりません。
今の職場と時給が変わらず、負担も解消できるなら、クリニックで働いた方がいいですよね。強いて言えば、今の職場とは違うやりがいを求めなければなりません。ただ、病院もクリニックも、患者の命を救っているのに変わりはないですよね。
また、クリニックは特定の地域に偏らず全国どこにでもあります。将来のライフプランも考えやすいですよ。
まとめ:医師不足が起こっている原因は?
- 「首都圏」は西日本と比べて、最大2倍も医師が足りていない
- 「外科や産婦人科」は、医師数が増えず麻酔科の2分の1しかいない
- 医師の絶対数を増やせば解決するが、「既得権益者」が医師増加を阻む
医師不足の最大の原因は、地域によって人口当たりの医師数に偏りがあるからです。
なぜなら、人口当たりの医師数が少ない地域では、患者数に対する医師の数が足りず、十分な医療が提供できないからです。実際、人口当たりの医師数が最も少ない埼玉県は、最も多い徳島県の2分の1しか医師がいません。
人口当たりの医師数が少ない首都圏の医師は、医師不足による仕事の負担に襲われています。
しかし、地域の偏りは今後も解消が期待できません。なぜなら、地域の偏りを減らすために医師の数を増やそうと思っても、利益を重視する医師会や病院経営者が反対しているからです。
既得権益者がいる限り、医師不足はなくなりません。負担を解消するには私たち医師自身が行動するしかありません。
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