医師がやりがいを失う理由は?|低賃金、激務、仕事がつまらない?

時間外労働が規制されない理由は?

働くのが忙しくて、仕事にやりがいを感じない医師は多いですよね。私たちは「病気やけがで困っている人を助ける」といったやりがいを期待して、医師を目指したはずです。なぜ、医師はやりがいを失ってしまうのでしょうか?

  • 毎日忙しくて、給料日にやっと報われた気分になる…
  • 忙しすぎて、働いている間はやりがいを感じない
  • 書類作成など、やらなくてもいい仕事をするのが苦痛…

やりがいを失う最大の理由は、激務に見合った報酬を受け取れていないからです。

医師のほとんどは給料が足りず、当直などのアルバイトをして足りない生活費を稼いでいます。さらに、低い給料に追い打ちをかけるように、医師の仕事は激務です。また、書類作成など、医師がやる必要のない仕事もこなさなければなりません。

こうした過酷な労働環境で、医師がやりがいを失うのは当たり前ですよね。

しかしながら、激務を減らすか、見合った報酬をもらうことで、やりがいは取り戻せます。なぜなら、医師は本来、人々の命を救えて社会に確実に貢献できる、やりがいにあふれる職業だからです。やりがいを失う原因は、劣悪な労働環境にあります。

激務を減らすには、時間外労働が少ない勤務先で働けばいいです。また、技術を高めれば、やりがいを見出せます。手術や専門技術を実践できるようになれば、「患者さんの感謝」からやりがいを感じますよね

また、正当な報酬をもらいたいなら、人材に投資している病院に勤めるべきです。なぜなら、そういった病院は資金が潤沢なため、医師の給料も高水準だからです。さらに、論文の指導や海外遠征など、自己研磨できる環境もそろっています。

やりがいを持ち続けるには、環境を変えるのはもちろん、自己を高める努力をし続けるのが大切です

ここでは、医師が仕事のやりがいを失う、3つの理由を紹介します。また、労働環境を変えて、失ったやりがいを取り戻す方法も紹介します。

やりがいに悩む医師向け
  1. 仕事のやりがいに悩む、医師の声は?
  2. やりがいを失う、3つの原因は?
  3. やりがいを見出す、3つの方法は?

仕事のやりがいに悩む医師…

仕事のやりがいに関して悩む医師は多いです。

Aさん)給料日にやりがいを感じる…

問:医師をされている方に質問です。やりがいを感じるのはどういう時ですか?

解:医師に限らないでしょうが、やりがいを感じる時は、給料日です。

開業医に関しては経験がないので分かりません。

普段の地道な仕事(私は出勤日は朝5時起きです)や疲労、いろいろな怒り、等が給料日に、ちょっとだけ報われたような気がします。幻想と言われればそれまでですが

医師といっても仕事は臨床だけではなく、施設によっては研究的なこともやらされますよ。学位は既に取ったからやりたくなくても、それでもやらざるを得ない場面も多いものです。

参考:Yahoo知恵袋

給料日が来るとやりがいを感じる医師は多いですよね。ただそこで、十分な給料がもらえていないなら、やりがいを見出すのは難しくなります。

大学病院に勤めている30代の勤務医でも、月収20万はざらにいます。そして、足りない生活費を補うためにするアルバイトの方が、時給的には高いという現実があります。頑張っている本業の給料が低ければ、やる気もそがれますよね。

十分な給料をもらいたいのなら、待遇のいい病院に行くべきですね。人材に投資していて、資金が潤沢な病院なら、給料はいいですし、自己研磨する環境もあります。

Bさん)やりがいを感じないほど忙しい…

問:医師の仕事内容・やりがい・つらいことはなんですか?

解:キャリアによっても違いますね。

国立で内科研修していた時の話です。私は丸1年間、一日も休みがありませんでしたので、体力がきつかったです。一例としてご参考まで。大部、国立、私立で違いもあるようです。

ちなみに、このころはやりがいを感じている暇がありませんでした。何しろ寝てないものですから、、、。

ひたすら、早く指導医になって、新人の研修医をこき使うことぐらいしか頭にないですよ。そのくらいキツイのです。

参考:Yahoo知恵袋

仕事が忙しすぎると、やりがいを感じないですよね。体が疲弊していたら、そもそもやりがいを感じる余裕もないですよね。

また、研修医時代に苦労する病院は、指導医になっても忙しさは変わりません。なぜなら、研修医に仕事を任せるほど、人手が足りていないと言えるからです。結局、年齢を重ねても医局の都合よく働かされるだけですよね。

Cさん)やりがいのために仕事をするが、給料は安い…

問:お医者さんがアルバイトをする理由を教えてください。

お医者さんの場合は学会の参加費や専門書ひとつとっても出費がかさむとは思いますし、激務に見合わない金額かもしれませんが、でも日々暮らしていく分には困らない金額のように思います。

解:医師の年収は

  1. 忙しさに反比例する(忙しい科は給料が安い。暇な科は給料が高い)
  2. 都会よりも田舎の方が給料が高い。
  3. 大学病院<総合病院<市中病院<開業医の順番で年収があがる。

という特徴があります。
忙しさと給料が反比例するのは、暇な科は、やりがいがないので、つまらないので医者が集まらない→結果、給料が高くなる、ということです。お金が安くとも、やりがいがある仕事なら、医者は我慢するということですね。

なので、大学病院、特に都心部の大学病院なんかは給料が激安で、ベテラン医でも専門医でも、助教でも講師でも、手取り30万いかない、ということがよくあります。なので、夜間当直したり、研究日をアルバイトにつかったり、土日のアルバイトをしたりして、なんとか年収を1000万くらいにしている感じですね。

田舎の病院だったら、ベテラン医は1500万くらいは軽く貰えるので、アルバイトしていないことが多いです。
まあ、それでもパワフルな先生は、さらにアルバイトをいれて、年収2000万まであげている人もいますけど。

参考:Yahoo知恵袋

首都圏の病院だと、仕事が激務な分、給料は安いです。ただ、やりがいを求めて首都圏で働くことを選ぶ医師は多いです。

確かに、いい病院ほど来る患者もふえるため、自然と激務になります。しかし、給料が低いため、アルバイトをして、せっかくの休日や研究に費やす時間をつぶしてしまいます。

実は、地方には、仕事は激務ですが、給料が十分もらえて待遇もいい病院はたくさんあります。生活の基盤を首都圏に置きたいと思ったいないのなら、地方の資金が潤沢な病院で働いた方が、やりがいをもって働けます。

結局、激務でやりがいを得ていても、疲労が蓄積すればやりがいを持つ余裕はなくなっていきます。やりがいがなくて悩んでいるのなら、まず自分の労働環境を客観的に見るべきです。もう、激務で給料が低いという時代は終わりましたよ。

では、客観的にみて、医師がやりがいを失う理由は何でしょうか?

やりがいを失う3つの原因は?

医師がやりがいを失う原因には、「低い給料」、「激務」、「つまらない仕事」の3つがあります。

原因1 :十分な給料をもらえない(無給医は2191人いる)

今年行われていた、給与をもらえず医者の仕事をする「無給医」についての文部科学省の調査結果で、2000人以上の「無給医」の存在が明らかになりました

無給医とは何でしょうか? これは、にわかには信じがたいのですが、字の通り「給料をもらえずに働くお医者さん」のことです。主に大学病院で働いています。

参考:Yahooニュース

やりがいを感じない最大の原因は、労働に対して十分な給料がもらえていないからです。極端な例だと、給与を全くもらえない「無給医が挙げられます。ちなみに「無給医」は最低でも2161人いることが判明しています。

十分な給料がもらえなければ、やりがいを持てません。なぜなら、生活に余裕がなくなることで、心も余裕がなくなるからです。足りない生活費のために過酷な救急当直をする生活をしていては、平常心を保っていられませんよね

よって、貰える給料が低ければ、いつまでたってもやりがいを感じることはできません。いずれは年功序列で給料が上がっていきます。しかし、それまで心身が持つかどうかわかりませんよね。

原因2:医師の4割が過労死ラインを超えて働く

さる3月28日に厚労省の「働き方改革に関する検討会」が報告書を出したが、その内容は一部の医師に、過労死ラインの約2倍の1860時間の時間外労働を認めるものであった

報告書では4割の勤務医が過労死ラインを超えて働き、約1割が過労死ラインの2倍を超えて働いているとされている

参考:東京保険医協会

過重労働も、やりがいを失う原因の1つです。調査によると、勤務医の4割は、心身に異常をきたすとされる過労死ライン(月80時間以上の時間外労働)を超えて働いています。さらに、その内の1割過労死ラインの2倍を超えて働いています。

忙しさにやりがいを見出す医師もいますが、限度を超えた労働ではやりがいを感じることは不可能です。なぜなら、激務を続けることで心身が疲弊していき、正常な判断ができなくなるからです。

実際、過労死ラインを超えて働き自殺した女性医師は、死の直前「気力がない」「病院に行きたくないし、人とも会いたくない」ともらしていたそうです。激務で追い込まれれば、正常な判断ができないことがわかりますよね。

現状、過労死ラインを超えて働きやりがいがないなら、冷静に考えてこのまま働いてもやりがいは失ったままですよね

その3:業務内容がつまらない

医師の業務内容がつまらない理由は…
  1. 外来では患者1人当たりに時間を避けられず、作業が単調になる。
  2. 書類作成など、医師がする必要のない雑用もしなければならない
  3. エビデンスに基づく医療により、医師の存在意義がない

仕事がつまらなくて、やりがいを感じない医師も多いですよね。

確かに、1日に何十件も外来の患者対応をするのは退屈です。さらに私たち医師は書類作成や学会の準備など、望んでいない仕事をすることが多いです。また、エビデンスに基づく医療が主流になり、「自分たちの存在意義って何?」と思うこともあります

しかし、業務内容がつまらない現状は、労働環境を変えたり努力することで解決できます。

実際、自分のやりたい仕事をするために、海外に行って医療技術を最速で学ぶ医師もいます。技術を学んで日本に戻れば、難しい手術をこなすなど、やりがいのある仕事に就くことができます

やりがいを失う原因は色々ありますが、結局は自分の行動次第でどうにかなります。逆に言うと、行動しなければ、いつまでも低い賃金で働き激務をこなし単調な作業で気を病んでいくことになります。

では、具体的にやりがいを取り戻すには、どう行動したらいいのでしょうか?

失ったやりがいを取り戻す方法は?

方法1 :時間外労働が少ない地域で働き、労働時間を減らす

時間外労働が少ない地域は…
  1. 人口当たりの医師数が多い地域は、時間外労働が少ない
  2. 人口10万人当たりの医師数が最も多い県は、徳島県で329.5人、次いで京都府高知県
  3. 医師数が最も少ない県は、埼玉県で169.8人、次いで茨城県千葉県

医師は、どの地域でも激務に追われていると思いがちです。

しかし、蓋を開けてみれば、地域ごとに労働の格差があることがわかります。実際、徳島県は埼玉県より、人口当たりの医師数が2倍も多いです。医師の数が多い地域の病院は、医師の人手が足りているので、時間外労働も少ないですよね

やりがいを失った原因が労働時間にあるなら、上記の地域で働くべきです。時間外労働が少なければ、心や時間に余裕ができるので、患者対応や自己研磨に力を入れられます。こういった環境に身を置ければ、やりがいを見出せますよね。

方法2:専門技術を高める

専門技術を身につけるには…
  1. 医局を辞めて、飛び級して専門技術を身につける
  2. 海外に行って、最新の技術を学ぶ
  3. 普段から読書し、どん欲に知識を身につける

技術を高めることでも、やりがいを取り戻すことができます。技術を高めて、患者から信頼される医師になれば、患者からの「ありがとう」にやりがいを感じることができますよね。

例えば、手技が命の外科であれば、技術を高めることで、難しい手術に挑戦できるようになります。内科でも、エビデンス通りの医療ではなく、患者ごとに治療法を柔軟に考えることで、より良い治療を提供できますよね。

しかし、技術を高めるには主体的に努力する必要があります。

例えば、医局に所属したままでは、技術の習得するのには時間がかかりますよね。なので、技術を最短で習得したいなら、医局を辞めて他の病院で技術を学ぶべきです

実際、天皇陛下の手術を執刀したことがある天野篤教授は、心臓外科を極めるために病院を転々としています。亀田総合病院では米国帰りの医師から教えを請い、その後新東京病院に移り、5年目で年間300例の手術数をこなしています

また、柔軟な診療を行うためには、書籍を読み知識をどん欲に身につける必要があります。エビデンスに沿った治療に慣れている中、柔軟な対応を患者さんにするのは想像以上に難易度が高いです。

技術を高めるのは修羅の道です。しかし、主体的に動く自信があり、やりがいのある仕事をしたいのなら検討の余地があります。

方法3:人材に投資する病院に勤める

人材に投資している病院は…
  1. 給料が普通の大学病院の2倍
  2. 資金が潤沢で、自己研磨しやすい環境
  3. 見分け方は、高収益かどうか

人材に投資する病院とは、人件費をカットせず、医師の質の向上に努めている病院を指します。人材に投資する病院は、やりがいを取り戻すのに最低な勤務先です。

なぜなら、病院の資金が潤沢で、好待遇の中働くことができるからです。例を挙げると、全国トップクラスの利益率を誇る仙台厚生病院は、30代半ばの医師で年収は約2000万円です。一方、首都圏私大の准教授の年収は700万円程度です。(参考:病院は東京から破綻する)

さらに給料が高いため、自然と自己研磨がしやすい環境になります。月収15~20万程度では、自己研磨はおろか、生活を維持するのでやっとです。しかし、年収が高ければ、生活に余裕ができ、高額な医学書も購入できますよね。

人材に投資する病院を見分けるには、病院の利益率をみます。なぜなら、高収益の病院は、多くの患者が受診している、つまり、医師の教育が行き届いていると考えられるからです。

人材に投資する病院に転職できれば、やりがいを取り戻せるでしょう。しかし、転職しようか考えている暇はありません。なぜなら、将来首都圏の医療崩壊により、働き口を失った若手医師が地方の病院に流出するからです

医療崩壊が起こった後に転職するのでは遅すぎます。ライバルが多いため人材に投資する「いい病院」に転職できるのは、能力の高い医師だけです。

このまま働き続けても、やりがいを取り戻せず、待遇のいい病院に勤めることも難しいです。将来の医師格差に備えるために、今のうちに決断を下しましょう。

まとめ:医師がやりがいを失ったら?

やりがいを失ったら?
  1. 仕事量を減らす、具体的には時間外労働が少ない地域で働く
  2. 専門技術を高めて、患者さんから感謝される医師になる
  3. 人材に投資する病院に行き、好待遇自己研磨できる環境に身を置く

やりがいを取り戻すには、主体的に行動する必要があります。

最も簡単なのは、労働環境を変えることです時間外労働の少ない地域で働き、労働時間が減れば、やりがいを感じる「余裕」もできます。

さらにやりがいを感じたいなら、専門技術を高めましょう。自己研磨できる病院で手技を極める。本を読みエビデンスに沿った医療とは違った「柔軟な医療」を患者さんに提供する。これが実現できれば、患者さんから感謝されて、やりがいを実感できます。

やりがいを取り戻すなら今がチャンスです。将来は医療崩壊が加速し、医師に投資する「いい病院」に勤められる可能性は低くなります。自分から行動して、やりがいを取り戻し、待遇のいい病院に勤めましょう。

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