医師は、労働時間が長く、まともな休日も少ないので、心身ともに疲弊します。
- 残業しても給料なし、正直割に合わない…
- 朝から晩まで働き詰め、毎日辛くてたまらない…
- 患者さんからの理不尽なクレームで、心が限界…
医師が不満を感じる原因は3つあります。
1つ目の原因は、年功序列により、研修医や30~40代の医師の給料が少ないからです。厚生労働省によると、30~34歳の医師の平均年収は669万円である一方、最も平均年収が高い55~59歳では1,549万円です。さらに、研修医の平均年収は345万円で、20代のサラリーマンと全く同じです。
2つ目の原因は、労働時間が長いからです。残業時間が過労死ラインを超える医師は、全体の約40%です。そして、その40%のほとんどが研修医や30~40代前後の勤務医です。つまり、研修医や若い勤務医は、全年代で労働時間が一番長いのにもかかわらず、給料が最も低いです。
3つ目の原因は、患者さんから理不尽なクレームを言われることがあるからです。日本ビズアップ株式会社によると、院内暴力が過去にあったと回答した病院が、全体の52%ありました。従って、医師の2人に1人は理不尽なクレームを経験する可能性があります。
医師は患者を選べないため、理不尽なクレームを100%回避するのは不可能です。したがって、不満を解消するために医師ができるのは、労働環境の改善です。
ここでは、医師が割に合わないと感じる不満と、不満を解決する3つの方法を紹介します。
- 割に合わない仕事に悩む医師の声は?
- 割に合わない、不満だと感じる理由は?
- 割に合わないと感じる現状から抜け出す方法は?
記事の内容を簡単に知りたい
割に合わない仕事に悩む医師の声は?
Aさん)残業しても給料がでない…
労働環境に問題を感じる。
勤務実態の調査などはなく、なあなあでやっている。とくに医師の場合組合に入って活動を行う者も非常に少なく、病院側の言いなりである。厳密な査定制度を設けてほしい。また、看護師や検査技師・放射線技師などと同様に超過勤務の申請ができるよう認めてほしい。夜間の呼び出しなどの際にも給料の補助はなく、完全に無償奉仕である。参考:キャリコネ
「裁量労働制だから」、「年俸制だから」と言われ、残業代をもらえない医師は多いですよね。
いくら患者のためとはいえ、報酬をもらえないと納得いきません。また、勤務医や研修医は労働者となる可能性が高く、残業代を請求する権利があります。
病院の言いなりにならず、権利を主張して残業代を請求しましょう。
参考URL:医師の労働問題【使用者側弁護士が徹底解説】
Bさん)休みがなく心も体も限界…
専門性が高く、スキル、経験アップに関しては非常に恵まれており、やりがいは日々感じていた。他の病院の医師からも一目置かれる存在となっていたことは誇りでもある。しかし24時間365日拘束状態であり、自分の時間が全くもてず、とうとう体調に変調をきたすようになりやむなく退職した。
参考:キャリコネ
医師は休みの日がほとんどなく、心身ともに疲弊します。Bさんのように24時間365日拘束状態というのも、よくある話です。
また休日も、患者さんの容態を考えると気が休まりません。旅行に行く気分にもなれませんよね。
Cさん)患者さんからのクレームが苦痛…
患者からの理不尽なクレームが多い。それに対してパラメディカルや病院のバックアップがあればかなり我慢できるが、ほったらかしにされることが多い。
渉外担当という人もいるが、数が少なくほとんど機能していない。
1人のモンスターペイシェントが何人もの医師を退職に追い込んでいる。参考:キャリコネ
一生懸命治療した患者さんにクレームを言われることほど、つらいことはないです。患者さんの命を救うという、医師の本望が揺らぎます。
特に、「医療費が高い!」など、医師のせいではない理不尽なクレームを言われても、我々にはどうにもできません。反論してもさらに文句を言われるだけなので、黙って聞くしかないですよね。
また、悪質なクレーマーになると、夜中でも「医者を出せ!」と怒鳴ってきます。24時間、精神的ストレスに苦しめられます。Cさんの言う通り、退職に追い込まれる医師がいてもおかしくない状況ですよね。
さらに、周りの医師も同じ状況に苦しんでいるので、相談するのも気が引けます。でも、苦しい状況を我慢する必要はありません。患者さんの命を救う以上、自分の体調を考えることも大切です。
割に合わない、不満だと感じる理由は?
その1:年功序列で研修医や勤務医は給料が少ない
研修医や若い勤務医の年収は、一部のサラリーマンと変わりません。
なぜなら、サラリーマンと同じく、医師の給料も年功序列で決まるからです。厚生労働省によると、30~34歳の医師の平均年収は669万円です。一方、55~59歳の平均年収は1,549万円です。このように、年齢が20歳違うだけで年収が2倍以上違います。
さらに、20~24歳、つまり研修医の平均年収は345万円です。これは、20代のサラリーマンの平均年収345万円と全く同じです。
では、サラリーマンと給料が同じ一方、医師の方が労働時間は長いのでしょうか?また、医師の中でも、年代によって勤務時間は変わるのでしょうか?
参考2:doda「(平均年収/生涯賃金) 平均年収ランキング 最新版【年齢別】」
その2:若い勤務医、研修医は勤務時間が長く割に合わない
医師の中でも、研修医や30~40代前後の勤務医がもっとも勤務時間が長いです。
その理由は、医師の残業時間が異常に長いからです。厚生労働省によると、勤務医の中で、月の残業時間が80時間を超える医師が全体の約40%います。
直近6か月間にわたって、月の残業時間が80時間を超えると、いわゆる過労死ラインといわれます。過労死ラインを超えると、脳や心臓疾患の発症確立が上がります。
さらに、過労死ラインを超えている医師のほとんどが、研修医や30~40代前後の勤務医です。こちらも、厚生労働省の調査結果より明らかになっています。
つまり、過労死ラインを超えて働く研修医や若い勤務医と比べて、一般的な勤務時間で働く年配の医師の方が、貰える給料が高いという現実があります。割に合わないと感じたり、不満を抱くのも当然ですよね。
参考2:厚生労働省「医師の働き方改革について」(pdfに飛びます)
参考3:厚生労働省「医師の勤務実態について」(pdfに飛びます)
その3:患者やその家族からの理不尽なクレーム
患者やその家族からの理不尽なクレームで、医師はとって苦痛です。なぜなら、暴言を吐かれて精神的に傷ついたり、場合によっては暴力行為に発展するからです。
日本ビズアップ株式会社によると、院内暴力が過去にあったと回答した病院が、全体の52%ありました。従って、医師の2人に1人は理不尽なクレームを経験する可能性があります。
過酷な労働環境にいる中、理不尽なクレームを言われれば、さらなる苦悩につながります。しかし、医師は患者を選べません。理不尽なクレームを回避しようと思っても、医師を続ける以上完全に避けるのは不可能です。
したがって、これ以上不満を増やさないためにも、あなた自身で労働環境を変える必要があります。では、具体的にどのようにして環境を変えればいいのでしょうか?
割に合わないと感じる現状から抜け出す、3つの方法とは?
方法1:残業代を請求する
未払いの残業代があるなら、残業代を病院に請求しましょう。なぜなら、労働者だと認められれば、労働基準法により残業代を請求する権利があるからです。
実際に、年俸1,700万円の契約を結んでいた医師が、未払い残業代の支払いを認めてもらった事例があります。
年俸制で働いていた医師の男性が、残業代に未払いがあるとして、病院を運営する神奈川県内の法人に計725万円の支払いを求めた訴訟の差し戻し控訴審判決で、東京高裁は22日、制裁に当たる「付加金」を含め、計546万円の支払いを法人に命じた。
…中略…
判決によると、男性は平成24年4月、病院側と年俸1700万円の雇用契約を結び、午後5時半~9時に残業をしても賃金は年俸に含むと合意していた。
上記以外にも、病院が残業代を支払わない理由はいくつかあります。しかし、いずれの場合も「医師は労働者として認められるか」が争点になります。つまり、医師は労働者と認められる可能性がある以上、残業代を請求できる場合があると言えます。
しかし、もし残業代を請求できても、勤めていた病院を敵に回すことになります。同じ病院で勤務するのは難しそうです。また、医局の圧力により、他の病院に転職することも厳しい可能性かあります。
医師を続けたいのであれば、別の方法で労働環境を解決した方がいいでしょう。
方法2:非常勤医師として働くペースを落とす
非常勤医師であれば、週1~3に労働ペースを落とすことができます。また、給料についても、年収約400~1000万円と、今と同じかそれ以上の給料をもらえます。
給料が高い理由は、医師不足により非常勤医師の需要が高いからです。定期非常勤の時給相場は1万円前後です。定期非常勤とは、一定期間継続して働く勤務体系のことを指します。例えば、毎週月曜日に8時間働くといった感じです。仮に週1日に8時間働いたとしても、年収384万円と研修医の年収より断然高いです。
厚生労働省により、週の労働時間が32時間を超えると常勤医師になります。つまり、非常勤医師として働ける上限は、週3日に8時間が一つの目安です。常勤務医より勤務時間が断然少ないですよね。
病院内の人間関係も変わるので、精神的ストレスも解消できます。
参考1:リクルートドクターズキャリア「非常勤で働く医師の給与相場」
方法3:別の病院に転職する
転職すれば、非常勤ほどではありませんが労働時間の改善ができます。
なぜなら、転職をすれば残業時間が少ない職場を見つけられるからです。そして、常勤医師として働き続けられるのも利点です。
過酷な労働に苦しみ、非常勤を選ぶ人もいます。一方、患者さんの命を救うことにやりがいを持ち、労働時間が少なくなる分、患者さんと向き合う時間が減ることに疑問を抱く医師もいます。
このように、労働環境を改善したいが、常勤医師のまま働き続けたいという医師には、転職がおすすめです。
まとめ:医師が割に合わない理由は?
- 給料が年功序列、50代の医師は30代の医師と比べて年収が2倍以上
- 研修医の平均年収は、20代のサラリーマンと同じ345万円
- 残業時間が過労死ラインを超える医師が、全体の約40%
- 過労死ラインを超える医師のほとんどが、研修医や30~40代の勤務医
- 患者さんやその家族から理不尽なクレームを受けることがある
- 不満を減らすためには、労働環境を変える必要がある
医師が不満を感じる原因は3つあります。
1つ目の原因は、年功序列により、研修医や30~40代の医師の給料が少ないからです。厚生労働省によると、50代の医師は、30代の医師と比べて2倍以上の年収をもらっています。さらに、研修医の平均年収は345万円で、20代のサラリーマンと全く同じです。
2つ目の原因は、労働時間が長いからです。残業時間が過労死ラインを超える医師は、全体の約40%です。そして、その40%のほとんどが研修医や30~40代前後の勤務医です。
3つ目の原因は、患者さんから理不尽なクレームを言われることがあるからです。医師の2人に1人は理不尽なクレームを経験する可能性があります。
医師は患者を選べないため、理不尽なクレームを100%回避するのは不可能です。したがって、不満を解消するために医師ができるのは、労働環境の改善です。
改善の一歩として、未払い残業代を病院に請求するのは一つの手です。労働時間に見合う報酬を貰えれば、今の状況に納得できるかもしれません。
もっと大胆な改善方法としては、非常勤医師になる、別の病院に転職する方法があります。どちらも根本的に労働環境を変えることができます。
いずれにしろ、割に合わないという感情や、不満を抱いたまま無理をする必要はありません。
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