医師が負担を感じる原因は?|長時間労働・当直は今後も減らない?

日々の激務に負担を感じる医師は多いです。実際、医師の66.2%が勤務状況の改善を求めています。では、具体的にどういった業務内容に負担を感じているのでしょうか?

  • 長時間労働を減らしたい…
  • 当直明けの休みが取れず、負担を感じる…
  • 書類作成に時間をとられて、医師の本業に集中できない…

負担を感じる最大の原因は、長時間労働です。調査によると、医師の66%が、過労死水準である時間外月80時間以上働いています。

さらに、当直の多さが長時間労働を加速させています。月5回以上の当直をしている医師は53%に上ります。また、76.4%の医師が、当直明け後も通常勤務をしています

長時間労働や当直による負担を減らすには、医師自身が行動するしかありません。病院の負担軽減対策は限定的で、長時間労働への対策をしている病院は約16%しかありません。

まずは上司に相談するのが手です。しかし、病院が赤字経営の場合、労働環境を改善する資金がなく、負担軽減は期待できません

負担から逃れるには、労働条件のいい職場で働くのが一番です。当直のない無床クリニックで働いたり、人口当たりの医師数が多い地域で働くなど、選択肢は色々あります。

ここでは、医師が負担を感じる原因について紹介します。また、負担を軽減する具体的な方法も紹介します。

仕事の負担に悩む医師向け
  1. 仕事の負担が軽減されず悩む、医師の声は?
  2. 負担を感じる原因は?病院による負担軽減策は効果がない
  3. 負担を軽減する、3つの方法は?

仕事の負担が軽減されず、悩む医師…

仕事の負担に関して悩んでいる医師は多いです。

Aさん)長時間労働を短縮する方法はあるの…

医者の長時間労働を短縮するためには、良い案があるでしょうか?
患者が診察される時間を減らされて、患者が我慢して解決すべきでしょうか?

医師の数を増やすために医師免許を取りやすくしたら、質が落ちます。
市場原理を入れて、高い金額を払った人が、ゆっくりたくさん医者に診てもらえるようにするのか?医師の少ない地方では、大丈夫だろうか?

何か名案が有りますか?

参考:Yahoo知恵袋

長時間労働による負担を減らすには、医師自身が行動するしかありません。

なぜなら、病院は経営難により、新しい医師や医療クラークを雇えないからです。よって、現在長時間労働を強いらる職場では、今後も労働環境が改善される可能性は低いです。

長時間労働による負担から抜け出したいなら、地方の病院に転職しましょう。徳島県は人口当たりの医師数が多いため、医師の仕事負担も少ないです。

Bさん)当直明けの休みが取れない…

医師の当直明けがなかなか取れません。うまく取れるシステムを教えてください

当直翌日は原則明けとなっていますが、実際は、検査、病棟等の業務で明けられないケースがほとんどです。明けてもPHSに連絡があることも結構あります。総合病院でこのような状況を解決し、何か良いシステムで当直明けが取れているか教えください。

参考:Yahoo知恵袋

当直明けの通常業務を改善する、明確なシステムはありません。

当直を非常勤の医師に任せるという選択肢はあります。しかし、赤字経営の病院は非常勤医師を雇う余裕はありません。結果、当直明け後も通常業務を行う医師は、全体の76.4%に上ります

当直明けの通常勤務が回避できない以上、当直回数を減らすしかありません。上司に相談して当直回数を減らしてもらいましょう。それでもだめなら、当直がない、無床クリニックに転職する方法もあります。

Cさん)書類作成が負担…

そもそも医師は治療や研究など本業のドクターとしての仕事にまい進したいと望む人が多く、交通事故に関したこれら書類作成や手続き、やり取りを面倒だと感じる人がほとんどである。

まして自分の診断書が被害者の損害額に直接関わるとなると尻込みしてしまう医師も少なくない。下手なことを書いて恨まれるのも嫌だというのだ。交通事故の患者は診療したくないとさえ公言する医師もなかにはいるのである。

参考:Yahoo知恵袋

事務作業を負担に感じている医師は多いです。しかし、事務作業は医師自身がやる必要はなく、医師事務作業補助者に仕事を任せることができます

実際、医師事務作業補助者を配置する病院は43.1%に上ります。よって今後、医師が事務作業を負担に感じることは少なくなります。

しかし、「事務作業」による負担がなくなっても、医師の根本的な負担軽減にはつながりません。では、医師が負担を感じる一番の原因は何でしょうか?

負担の原因は?病院による負担軽減策は効果あるの?

負担を感じる最大の原因は「長時間労働」です。さらに、「当直の多さ」によって労働時間はさらに増えます。また、「事務作業」を負担に感じる医師も多いです。

その1 :医師の2人に1人が、「長時間労働・当直」に苦しむ

過労死水準である時間外月80時間以上の医師が66%に達し、厚生労働省が「極度の長時間労働」と定める「月160時間以上」の時間外労働をしている医師も27%に上ることが分かった。また、月5回以上の当直をしている医師は53%で、我が国の産婦人科医師の過酷な労働環境が改めて示された。

また、当直明けの勤務体制については、当直実施者の76.4%が通常勤務だった。

参考:日経メディカル

医師が負担を感じる原因は、長時間労働が一番に挙げられます。

実際、過労死水準である時間外月80時間以上の医師は66%に達しています。また、厚生労働省が定める「極度の長時間労働(時間外月160時間以上)」の医師も27%います。

さらに、当直の多さも医師の負担になっています。月5回以上の当直をしている医師は53%います。また、当直明けに通常勤務をする医師は実に76.4%に上ります。

過労死水準を超えて働くと、心身は極度の疲労に陥り、うつ病のリスクも高まります。また、当直中は十分な睡眠時間をとることができず、疲れた状態の中当直明けの通常業務を強いられます。これを負担に感じない方がおかしいですよね。

早急に対処すべきですが、長時間労働や当直の多さはすぐに解決できる問題ではありません。なぜなら、多くの病院が経営難に陥り、医師の労働環境改善に使う費用が全く足りていないからです。

特に首都圏の病院は人件費や土地代が高いため、これからも経営難が加速します。よって、首都圏の病院は今後も労働環境の改善に手が出せず、長時間労働や当直による負担が減らないと考えられます。

その2:50.8%の医師が、「事務作業」を負担に感じている

具体的な業務では、診断書、主治医意見書の記載等、事務作業と、検査の手順等の患者への説明業務が負担が重いと感じるようであった。
診断書の記載等の事務作業に関する業務分担の進捗状況は29.4%であった。検査等の説明に関しては11.0%と低かった。

参考:厚生労働省

医師の業務の中で、最も負担に感じている業務は事務作業です。

調査によると、「診断書、診療録、処方せんの記載」の負担が重いと感じている医師は、全体の50.8%もいます。他にも、「主治医意見書の記載」では44.2%、「予約オーダー、リングシステム、電子カルテの入力」では27.6%の医師が、負担が重いと感じています。

事務作業が終わらないと労働時間が長引き、医師の負担になります。さらに、事務作業自体は医師じゃなくても簡単にこなせます。正直一般の人でもできる内容ですよね。

負担を軽減するため、事務作業を他の医療関係者に分担しようという動きが進んでいます。「診断書、診療録、処方せんの記載」に関しては、29.4%で業務分担が進んでいます。

医師の時間外労働を削減した際に余った手当分で、事務作業ができる医師事務作業補助者を雇う病院もあります。この流れが加速すれば、いずれは医師が事務作業をすることはなくなります

その3:「事務作業」は減るが「長時間労働」は変わらない

「特に行っていない」との回答は2割。8割の回答者は、勤務医の負担軽減のために何らかの対策を行っているとした。最も多かったのは「医師事務作業補助者の配置」で、43.1%がこれを挙げた。

参考:m3.com

医師の負担を軽減するため、8割の病院が対策を行っています。最も多い対策は「医師事務作業補助者の配置」で43.1%です。

一方、長時間労働への対策は不十分です。時間外勤務・当直などの制限」は15.9%、「短時間労働制度の導入」は13.9%の病院しか対策を実施していません

よって、医師による事務作業は今後減っていき、将来的には負担の要因ではなくなることに期待できます。しかし、最大の原因である「長時間労働・当直」は劇的に減ることはなく、対策するのは一部の病院であると考えられます。

また、日本の医療の現状から見ても、長時間労働や当直は減らないと考えられます。なぜなら、医療費の削減や消費税の増税により、主に首都圏の病院が経営難に陥っているからです。

経営難に陥った病院は、人件費を削減するしかありません。さらに首都圏では医師がそもそも足りていないので、1人1人の医師の負担は大きくなります。

よって、「長時間労働・当直」といった負担から逃れるには、私たち医師自身が行動するしかありません。では、具体的にどうすればいいのでしょうか?

負担を軽減する、3つの方法は?

方法1 :勤務時間について上司に相談する

上司への相談は…
  1. 勤務時間当直の多さ事務作業の負担を訴える
  2. 医局に所属していれば、教授との面談(11月~1月)の際が相談しやすい
  3. 上司や教授が信頼できないなら、相談すべきではない

私たちがまずできるのは、上司に相談することです。上司や病院と協力できれば、負担の多さを早期解決できますね。

厚生労働省によると、「労働時間管理の適正化に向けた取組」を前向きに考えている医療機関は、全体の約60%を占めます。問題を深刻に受け止めてくれる病院は、思ってるより多いですよ。(参考:厚生労働省

しかし、医局内の人間関係が悪く、教授も信用できないのなら相談しない方がいいです。病院側に反感を食らう可能性もありますし、相談してもいい結果は得られないでしょう。

そもそも、相談を突っぱねられたり、訴えても黙認を続けている病院では、労働環境の改善を期待できません。なぜなら、そういった病院は赤字経営で、人材面にかける資金が不足しているからです。

赤字経営の病院にいては、永遠に負担は軽減されません。いっそのこと、転職して病院を移った方がマシですね。

方法2:当直のないクリニックで働く

クリニックで働くメリットは…
  1. 病院勤務よりも残業が少ない
  2. 当直オンコールなしの職場が多い
  3. 勤務時間当たりの時給は、病院勤務を上回る
  4. クリニックの人手不足により、転職難易度も低い

クリニックに転職すれば、時間にゆとりをもって働くことができます。長時間労働から解放されるので、仕事の負担も減りますよね。

また、無床クリニックで働けば、当直オンコールはありません。少ない睡眠時間や当直明け勤務でのヒヤリハットの心配もなくなります。

負担を軽減できるうえに、給与も決して低くはありません。例えば、無床クリニックの求人は年収1000万円を下回る分労働時間が少ないです。時給換算すれば、年収が高い分時間外労働も多い病院勤務よりも、好待遇で働いていることがわかります。

方法3:人口当たりの医師数が多い地域で働く

人口当たりの医師数が多い地域で働けば…
  1. 医師1人の負担が少ないため、長時間労働や当直も減る
  2. 人口当たりの医師数が多い県は順に、徳島県329.5人、京都府高知県
  3. 人口当たりの医師数が少ない県は順に、埼玉県169.8人、茨城県千葉県

参考:GemMed

医師数が多い病院で働けば、医師1人1人に対する負担も減りますよね。

地域ごとに人口当たりの医師数を見てみると、格差があることがわかります。特に徳島県と埼玉県を比べると、医師数が2倍も違いますよね。つまり、医師が診る患者数も2倍違うため、感じる負担も違うということになります。

さらにこのデータから、首都圏に勤める医師が負担を感じているとも言えます。首都圏で働いている医師は、負担を軽減したいなら医師数の多い地方で働くべきです。

地方で働くべき理由は医師の負担だけではありません。首都圏は今後、経営難に陥る病院が増え、医師も不足していきます。よって、首都圏で働く医師の負担はさらに増えて給料も徐々に減っていくと考えられます。

生活水準が低下すれば、負担の影響がプライベートにも出てきますよね。事態が悪化する前に、地方で働くことを検討した方が身のためです。

まとめ:医師の負担の原因は?

負担の原因は…
  1. 一番は「長時間労働」、66%の医師が過労死水準を超えて働いている
  2. 当直」の多さも原因、月5回以上の当直をする医師は53%
  3. 当直明け後に通常勤務をする医師は76.4%
  4. 50.8%の医師が「事務作業」を負担に感じるが、今後は軽減される
  5. 長時間労働」は減らないので、自分で負担から抜け出すしかない

負担を軽減するには、まず上司に相談するのが手です。しかし、病院が赤字経営の場合、労働環境を改善する資金がなく、負担軽減は期待できません

負担から逃れるには、労働条件のいい職場で働くのが一番です。無床クリニックで働けば、時間にゆとりをもって働けるうえに、当直やオンコールもありません

また、人口当たりの医師数が多い地域で働くのも方法の1つです。なぜなら、医師数が多い分、医師1人当たりの負担も減るからです。具体的には、徳島県や、京都府高知県の病院は、医師の負担が少ないと考えられます。

逆に、埼玉県茨城県千葉県で働く医師は、医師数が少ないため負担が大きいと考えられます。これら首都圏で働き続けても、負担軽減は望めません。

さらに首都圏は今後、経営難に陥る病院が増え、負担が増えるのはもちろん、給料も減っていくと考えられます。よって、早めに転職を決断されたほうがいいでしょう。

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